令和3年第2回三島町地域循環共生圏推進協議会に参加して

## 2022年3月16日 三島町地域循環共生圏推進協議会幹事会レポート

 

2022年3月16日(水)午後1時30分から、三島町町民センターにて「三島町地域循環共生圏推進協議会」の令和3年度第2回幹事会が開催されました。議題は「木質バイオマスエネルギー導入事業」「森林活用委員会」「ゼロカーボンビジョンの策定」の3つでした。

 

この会議の内容について、私たちの研究会で共有された情報を基に、ブログレポートとしてお届けします。

 

### 木質バイオマス事業、熱供給に絞り込み新たなステージへ

 

三島町で検討が進められてきた木質バイオマスエネルギー導入事業について、大きな方針転換が報告されました。

 

当初は、熱と電気を同時に供給する「熱電併給(コジェネレーション)」を目指していましたが、**計画を再検討した結果、木質チップボイラーによる「熱供給」に事業を絞り、令和4年度中の導入を目指す**ことが明確にされました。

 

#### 方針転換の経緯と課題

 

計画変更の背景には、導入を検討していた**ボルター社製ボイラーの特性**があります。このボイラーは、余熱で燃料となる木質チップを乾燥させるため、外部へ十分に熱を供給するだけの出力が得られないことが判明しました。代替として検討したドイツのリプロ社製の装置は販売中止となり、再びボルター社製のボイラーを検討せざるを得ない状況です。

 

ボルター社製ボイラーには、使用するチップの質によってタールやクリンカが発生しやすく、メンテナンスの手間がかかるという課題もあります。この問題を避けるためには高品質な「ホワイトチップ」が必要ですが、購入すると高価になってしまいます。

 

このため、**町内で伐採したC材・D材を使い、自前で高品質なチップを製造する必要がある**ことが、宮城県川崎町への視察などを通じて明らかになりました。これは、当初の想定を上回る設備投資や運用コスト、そして広いスペースが必要になることを意味します。

 

#### 事業の目指す姿と今後のポイント

 

町の現時点での見解として、「脱炭素」の視点から今が導入の絶好の機会であるとされています。事業のポイントは以下の2点です。

 

*   **エネルギーの地産地消**

*   **民間事業者が主体となった運用**

 

事業の具体的なイメージとしては、町内の森林から伐採した木材を新たな事業体がチップに加工し、「ひだまり」と「つるの湯」に設置するボイラーへ供給します。木の駅事業による木材調達も並行して進める計画です。

 

### 「ひだまり」の暖房設備問題とバイオマス導入への期待

 

この木質バイオマス事業は、**町内の福祉施設「ひだまり」などが抱える設備の老朽化問題**とも深く関わっています。

 

デイサービス施設「福寿草」から居住棟にかけての集中暖房システムが、配管の劣化により暖房能力が著しく低下している状況が報告されました。この冬は大型ストーブで何とか乗り切ったものの、根本的な解決が急務となっています。

 

現在、灯油や重油を使っているこのボイラーを、新たに導入する木質バイオマスボイラーに置き換えることで、この問題を解決しようという構想があるようです。施設の更新時期と重なることも、事業を急ぐ理由の一つかもしれません。

 

ただし、性急に不適切な機種を導入することへの懸念の声も上がっており、**故障が少なく、地域でメンテナンスできる体制を整えることの重要性**が指摘されています。

 

### 「ゼロカーボンビジョン」策定と町民参加の呼びかけ

 

会議では、「三島町ゼロカーボンビジョン」の策定についても説明がありました。

 

これは、**2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする**という国の目標に沿った町の計画です。計画によると、2050年頃には三島町の二酸化炭素排出量はマイナス6000トンになる見込みです。

 

このビジョンの原案が町民に配布され、意見を募集する**パブリックコメント**が実施されるとのことです。町のホームページにも詳細な資料が掲載される予定ですので、ぜひご覧いただき、ご意見をお寄せください。